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2015年10月

児玉音楽監督 最後のブルックナー。

創立35周年記念
≪軌跡 ①≫ ~児玉宏のブルックナー Vol.11~

2015年9月28日(月)19時開演
ザ・シンフォニーホール

指揮:児玉宏(音楽監督・首席指揮者)

フランツ・リスト: 交響詩「オルフェウス」 
リヒャルト・ワーグナー: ファウスト序曲
アントン・ブルックナー: 交響曲第9番ニ短調 ノーヴァク版(1951年)

音楽の神オルフェオに基づく交響詩「オルフェオ」は、ドラマの内容とは相反して、12曲あるリストの交響詩の中で、最も叙情性豊かな作品の一つです。 鋭い和声感覚と絶妙な管弦楽法を巧みに使い、ドラマの進行と共に変化する登場人物の細かい心理描写が、神話の世界に相応しい素朴なメロディーの流れとなって、紡がれてゆきます。この作品の中にあるリストの和声感覚は、ワーグナーの楽劇「ローエングリン」に通じるものがありますが、この楽劇が、リストが活躍した中部ドイツの都市ワイマールで初演されたことをご存知の方は、「運命の不思議」を思われるのではないでしょうか?
リストと同じようにワイマールで活躍したゲーテの戯曲「ファウスト」は、自分の運命を変えるために悪魔と取引をした男の悲劇。ドイツ音楽界の鬼才ワーグナーが、この題材を使って作曲し、唯一残された作品が「ファウスト」序曲。序曲という名が付けられていますが、実質的には交響詩です。ドラマに登場する主人公たちが持つ固有のテーマが、素晴らしい作曲手腕によって緻密な連携を持ち、作品を盛り上げていきます。悲劇の最後に残ったものは?
最終回を迎えることとなった「ブルックナー・シリーズ」。今回は、未完成で残された最後の交響曲「第9番」を演奏いたします。2005年に偶然始まり、11年間続いたシリーズですが、同じ楽団が同じ指揮者の下で、同じ作曲家の同じ系統の作品を演奏し続けることによって、「楽団の演奏様式」が確立し、「楽団固有の音」が生まれることになったのではないでしょうか?
今晩の演奏会で掲示される<ワーグナーはブルックナーの義理の先生(ブルックナーはワーグナーを師として仰ぎますが、授業は受けていません)>、<リストはワーグナーの義理の父親(コジマ・ワーグナーはリストの娘です)>という「三人の作曲家の軌跡」と同時に、11年間続いた「演奏の軌跡」、そして35年間存続し続けた「楽団の軌跡」を確認して頂けると、「軌跡①」というタイトルに込められた意味をお解かり頂けるのではないでしょうか?

11年間、このシリーズを聴き続けて下さった聴衆の皆様に、心からお礼を申し上げます。

大阪交響楽団 音楽監督・首席指揮者 児玉 宏

(ここまで大阪交響楽団ホームページから引用)

「児玉シンフォニカーに期待。」で初めて児玉さんのブルックナーを聴いたのが2007年9月の第120回定期演奏会。
それ以来、「ブル0聴き比べ。」(2012年9月)、「ブルックナー交響曲第00番。」(2014年9月)の重厚な演奏を味わってきたが、このシリーズもいよいよ最終回となった。

最後の曲は、もちろん第9番。未完の大作だ。
児玉さんの事だから、世界初演となる第4楽章加筆版を披露するかと思ったが、オーソドックスにノヴァーク版で締めくくることになった。

大阪の下町らしいお好み焼と生中を堪能して、ほろ酔い気分でシンフォニーホールのホワイエへ向かう。
経営が移管されるまでは開演前にビールやワインを立席テーブルで傾ける方が多かったが、今はほとんどの方がホットコーヒーなどノンアルコールをソファーに座り寛いでいる。
この雰囲気では開演前の赤ワインを楽しむことが出来ず、私もホットコーヒーでホッと心を鎮めるに留める。
ロビーで不意な行動をしてしまう。半年後には詳細をお伝えする事になるかも知れない(謎)

オルガン席で児玉音楽監督をお出迎え。
最初の曲は交響詩の父であるリストの作品。
児玉さんらしい彫りの深い造形を構築していく。

舞台編成を入れ替えたあと、ブルックナーが敬愛したワーグナー。
流れる旋律の中に、ブルックナー交響曲第9番第3楽章の冒頭に似たものがあったような気がする。
そして、この曲も実は当初「ファウスト交響曲」として構想された作品だった。
まさかとは思うが、この曲をブルックナーが言及したとされる「第4楽章の代理としての『テ・デウム』」の代わりに、しかも第1楽章の前に「序曲」を演奏して4楽章のように見立てようとしたのか。
先ほど気になった第3楽章冒頭の旋律が、再び頭を過る。

中休みは、やはり白ワインを頂きたくなる。
さすがにこの休憩時間は白ワインを傾ける方も結構見受けられる。
私もその中に混じり、琥珀色のワイングラス片手に一息つく。

いよいよ、今日のメインディッシュ。
第1楽章の重厚感あふれる旋律は、以前聴いた大植さんの軽やかな演奏とは好対照。
金管の狂いもほとんどなく、安心して演奏に身を任せられる。
児玉さんも、この曲にかける想いは半端ではないのだろう。
1楽章振り切ると、やはり小休止を取らないと次に進めないほどの魂の叫び。

第2楽章の咆哮は、パイプオルガンの金管を震わせるほどの大迫力。
弦楽と管楽との掛け合いが見事に響き合っている。

そして第3楽章に入ると、児玉さんの指揮に更に熱が入り力が込められる。
まさに「白鳥の歌」といった響きが、ホール全体を包み込む。
最後の響きを余韻で味わい尽くしたあと、大きな拍手が湧き上がる。
次々と放たれるブラボー砲も、この企画が無事完結したことに対する祝砲のようだ。
何度も指揮者がステージを出入りする度に、ひときわ大きな拍手に包まれる。
指揮者にとってもオーケストラにとっても聴衆にとっても、ホールにいる全ての人が幸せな気持ちにひたる事ができた名演であった。

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