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至高の表現と言えよう。

15.7.4(土)15:00 いずみホール
宇野功芳 / 指揮 真夏の「第九」

ソプラノ/丸山晃子
アルト/八木寿子
テノール/馬場清孝
バリトン/藤村匡人
管弦楽/大阪交響楽団
合唱/神戸市混声合唱団

曲目
ベートーヴェン/歌劇「フィデリオ」序曲
交響曲 第9番 ニ短調 op,125「合唱付き」

(「関西クラシック音楽情報」から引用)
暑い7月に "第九"? という声もありそうだが、年末集中が少なくなって、"第九" も普通の曲目になった、そのひとつか。それでも、85歳の宇野功芳が "第九" ということになれば、話題にはこと欠かない。

宇野功芳は、音楽評論と合唱指導で知られているが、オーケストラの指揮も多い。ただ、ちょっと特異な演奏で、世間をさわがせることがある。"第九" も今回が7回目というが、どうやら普通の譜面ではない仕上がりになるらしい。ご本人には、それなりの意図があるので、それを推し量るのも楽しみ。

それに、曲の進行についても一家言あって、「第1・2楽章、第3楽章、第4楽章と、拍手で分断されるのは面白くない」といい、合唱は第4楽章の前に入れる。ソリストが並んで出てくるのは "やらない"、それとなく入ってくるようにする。そうでないと、ベートーヴェンが第4楽章で「それは違う、それも違う・・」というところにつながらないという。

合唱は40人ほど、オケは10型。"第九" を何度も聴いた人にとっても、興味がもてそう。
(引用終わり)

この演奏会を知ったのは、2ちゃんねるの大阪交響楽団スレッド。
今年で創立70週年を迎える「551の蓬莱」の社長が、宇野さんと旧知の仲だったという縁で実現した企画。
当初はモーツァルトK551の交響曲第41番「ジュピター」を演奏する案もあったらしいが、宇野さんの意向であえてこの曲になったようだ。

今までも数々の「快演」もしくは「怪演」を披露してきた宇野さん。
クラシックファンからも毎回賛否両論を巻き起こす独特の解釈と表現。
本人にとっては「血沸き肉踊る、魂の表現と言えよう。」といったところだろうが、少なくとも凡庸な演奏で終わることはない。

いずみホールは初めて訪れるコンサートホール。
ツイン21の飲食店フロアで昼食を頂き、オフィス街の雰囲気に包まれていたが、ホテルオークラの前を通り抜けると非日常の佇まいに変わってゆく不思議。
小雨が降る中、多くの観客が入口前に集まったため、開場時間が15分ほど早まる。
シンフォニーホールに比べるとこじんまりとしているが、ホワイエのドリンクカウンターやグッズカウンターは兵庫芸術文化センターに比べると居心地が良く品揃えも良い。

2階席は、宇野さんの表情がよく見える場所。
今日のコンサートは、あくまでもオケや歌手ではなく宇野先生が主役なのだ。

1曲目の歌劇「フィデリオ」序曲。
ベートーヴェンの名曲を、ワルターばりの悠然とした歩みで伽藍を構築してゆく。
「巨人の行進の如き、雄大な表現といえよう。」

若干の奏者追加と指揮者椅子の撤去が行われたあと、すぐに「第九」が始まる。
第1楽章は、「フィデリオ」に続き遅めのテンポで進んでゆく。
そして、ティンパニーの咆哮が力強くホールにこだまして、陶酔する観客を時折覚醒させる。
第2楽章は、若干テンポを上げ一般的な演奏テンポに近づきながら、メリハリのある表現を貫く。
一転して第3楽章は、美しい弦楽旋律の泉が観客席いっぱいに広がる。

さて、お待ちかねの第4楽章。
通常は予め立ち並んでいる合唱団が、第3楽章終了後にゾロゾロと舞台袖から入ってくる。
序奏は、聴こえるか聴こえないかくらいの静かな低音弦楽のトレモロ。
観客が聴き入っているところで、シンフォニック・シャウトが鋭く鼓膜に突き刺さる。
そして、いよいよバリトンの声が響き渡る…
どこから聴こえてくるのかと思い探すと、なんと私が座る2階席の舞台側テラスに立っているではないか。
そして、そこから階段を降りてオルガンステージへ。
これが、宇野さんがおっしゃっていた「仕掛け」なのか。
さらに、残り3人のソロ歌手もバリトンの歌唱に乗りながら階段を降りてくる。
4人揃い、見事な歌声を堪能したところで、合唱が始まる。
さすがは声楽指揮に定評がある宇野さん(そちらの方が本業という本人談もある)。
合唱については、オーソドックスにまとめられている。
最後の疾走は、名盤フルトヴェングラーのバイロイト盤ばりの加速感で大爆発!

演奏が終わると、観客は宇野先生に対する大きな拍手を送る。
言うまでもなく、通常の第九であれば、オケやソロ歌手に最大の賛辞を送るのだが、今日はもちろん宇野先生が主役だと改めて実感できる瞬間だった。

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